9月8日&9日

名古屋は近いな。そして都会だ。

思いのほか続く雑記のようなこのブログもついに4箇所目を記すに至った。名古屋が終われば小休止となる。思えば8/11から記録し続けて4週間、駆け抜けた感もあるがまだツアー前半戦である。

だが残機はやはり少ない…淋しい…今を生きる彼の姿を脳裏に刻めることは幸せなことなのだろうけど。

 


概ねの構成およびセトリは横浜から変更無しなので、今回はMC内容など中心に。

横浜から追加されたダンスパートの入りが暗転からだった気がするが、照明が変わったような気もする。視点が変わったから気づいただけかもしれないけれど。

あの演出を見て以降MJのMVとかライブ映像とか、久しぶりに見ている自分もいる。This is itめちゃくちゃ見たなぁ。今でも彼がいない世の中だなんて信じられなかったりもする。

あとは件のチェーン、ビーチチェアに腰掛ける時に引っかからないように腿に沿わせるように椅子の上に流していたことに気付いて大笑いしてしまった。かわいい。もう二度と引っ掛けないといいね。引っかかったハプニングはハプニングで面白かったわけだけど。

一つ筋の通ったアルバムを引っさげてのツアーとして、今の構成以上のブラッシュアップは無いかなぁ。ソロ曲としても、カバー曲の選択も、今の彼に必要なものだから。でも君恋の一曲とメドレーのBRIGHT両方やるわけにはいきませんかね。なんてことをここに書いておく。


衣装替えから二曲を挟み、MCに入るが、

「と、言うことで、日本ガイシホールにお越しの皆さん、盛り上がってますか~?」

「盛り上がってますか~?」(やや小声)

「盛り上がってますか~?」(ささやくような小声)

と自分でやっておいて笑ってしまうのは静岡ありから定着してないか?かわいい。ニコニコの目尻のシワが愛しくなる。彼の笑顔はこちらまで笑顔にさせる。だから、笑っていてほしいなぁ。笑い皺のある顔は幸せの象徴だ。

と思ったら日曜日は2回しかやらなかった。おや。ささやくようなのもなかった。おや??同行させて貰ったお友達と顔を見合わせた。

この後、「昨日に負けてらんないっすよね?」と煽るのをやったりもした。おお、ちょっと煽り方変えてきたな、なんて思ったりした。

ちなみに日曜日はちょんまげスタイルでのステージだったことは記録として残しておく。かわいいので全て良しとする。


土曜日、そこから触れたのは先日の台風と地震のこと。そして中止となった彼の相方のツアーのこと。大きなホールは避難所指定されていたりもするから、振替がいつになるのか見当もつかないけれど、相方の言葉を代弁するかのように「必ず振替公演をします」と力強く言い切ったということはやるんだろうな、などと思いながら聞いていた。有言不実行は嫌いそうだものね。

「ライブの持つエネルギーというものは計り知れない大きなものだと思うから、ここから何ができるとかではないけど、パワーを届けることは出来る。」綺麗事と言えばそれまでだけど、この場でなにかを感じて、今後何かしらの行動に繋がるキッカケになれば良いなと思う。

 

「名古屋は縁のある地で、」なんて話し始めたのは2010年のFantasyツアー、9月2週目から追加された追加公演のオーラス、豊田スタジアムでの後夜祭で自分たちが三代目のボーカルとしてお披露目されたという話。アリーナツアーでガイシにも来たから、それ以来だから4年ぶり?とかですかね、なんていう話。

Fantasy懐かしいな。劇団員だった彼と彼が、同年12月の合同公演のチケットを会場で手売りしてた頃だ。一人はVBA2始まる段階ではパフォーマーとして告知されてたし、一人は9月の神戸で内示を貰ったんだっけ。

今思うと、観に行った公演の裏で始まった彼らをまだこうして観ているのも不思議なものだな。なんてことを時系列を整理しながら思った。

あとは当然ながら名古屋出身の彼のことも少し。彼はいつ、このツアーを目にするのだろう。めちゃくちゃ忙しそうだから埼玉あたりかな。

ちなみにこのMCは日曜日はなかった。いつもと同じMCだった。


あとは、洋楽カバーでは音楽を知るキッカケをくれた方が現在LDHで共に仕事をされている方だという話が追加された。あと、Cracks~の方だったと思うがアレンジ変わった?一番最後のサビ部分、今までと違った調に聴こえた。記憶はポンコツなので、気のせいかもしれないけれど。

 

ピアノに腰掛けてのMCは、「楽しんでますか?まぁ盛り上がる曲やったわけじゃないっすもんね」となんだかスンッとしてた笑

投げっぱなしの自己完結というスタイルのMCクセになるなぁ。

このMCも日曜日はなかった。「いつもここで不安になる」と少しばかり見せた弱音のようなもの。福井ぶりだろうか、なんだか少し固く見えた気もする。

 

後半部分はロザリオを階段降りながら少し両手で動かしたりして呪いをかけているような動作にようやく気付いたわけだが、これまでの3か所でもやっていただろうか。記憶がない。

そして毎回恒例のタンクトップチャレンジだが、

7日目→右斜め?脇下に裂けて脇部分の円形が腰元でぶらつき、水撒いたあと花道行く前に上から脱ぐ

8日目→左斜め肋骨下くらいまで裂けて水撒く前に上から脱ぐ

と記録をしておく。

もはや福井の初日が幻説が色濃くなって来た。


メドレー、アンコールも土曜日は概ねいつも通りだった。ビビのことナディアって呼び間違えて、一拍おいて間違ったことに気づいて「ああ、ごめんビビアンだ!」と謝ったり、その後も花道に動きながらごめんね、ってしたり、地元のJimmyくんにマイクを渡して声を届けたりしたの以外は。ビビ笑っちゃってたじゃん笑

和気藹々として、バースデーサプライズ動画からも伺えるが、クルーの雰囲気は福井から通してとても良い。

 

ただ、こんな事をこんなところで書いてもとは思うが、日曜日は後半特に真顔が多かった。アンコール前、いつも捌ける階段で深々とお辞儀をするのだけど、それすらなかった。ドラムスティックをステージ後ろに投げるのだけど、それを前にぶん投げて蹴飛ばしていた。なんだか違和感があった。

とりあえず、いつもと少し違ったことはここに記しておく。こんなwebの片隅で記す備忘録のような記録なので、個人の主観である事を横に添えて。


と、まぁ、名古屋はなんだかもやっとしたまま終わってしまった。あくまでも個人の感情なので、こんなところで本来書くものでは無いのだろうけど。


次が遠いなぁ。あっという間に駆け抜けた4週間4都市だったから、次までの間をどう過ごすのだろうなんて事を考えたりする。終わった後のことは、きっとなんとかなると思うのだけど。

とりあえず、次の場所までは誰か人と会ってこのツアーの話をしたい。と、これを目にする機会のあるであろう友人方に意思表示をして筆を置くことにする。

8月30日

彼らの目には、このステージはどう見えたのだろう。神奈川公演2日目は、これまで以上に混み合った関係者席を下から見上げて始まった。

 


これまでずっと一緒に同行した友人と初めて別で観覧した。本日の同行者は友達の友人。初めまして、と落ち合い、中に入る。センター後方ではあるが中央付近で見やすい席だった。

横アリは低音が効く。冒頭のドラムの音が体によく響く。イントロから一曲目にかけての昂り方がどうにも好きだ。白に黒のノイズが走るスクリーンの演出に合わせ力強いドラムの音が雷鳴のように響いていき、一曲目終了とともに爆竹の音と火花が散ったあと、ツアーロゴが映し出されるあの演出、アクセル全開で踏み込んで駆け抜けるSHOWの始まりを感じずにいられない。

昨日から追加されたダンスは今日もあったので、BDだったからというわけではなさそうである。でもやっぱり、サンプリングされた音だったり演出はオマージュかな、昨日より幾分か冷静な頭で見て思った。

はなちゃんのストーリーで、「生で踊り歌うところを見たかった」とあったが、まさにその通りである。1987年にKINGは同じく横浜でライブをやっていたが、生まれてないんだなーーー!見たかったなーー!!折に触れて今後もそんなことを思うのだろう。

だからこそ、同じ時代を生きている彼を追えることは幸せなのだろうと思う。自分の生きている時代に、これだけ好きになれる人が居ることはものすごく人生を豊かにしている。ありがとう、あなたのおかげで私の人生に幸せのエッセンスが足されています。


めでたい事に本日は直人さんのお誕生日である。残念ながら本体での某観察バラエティの収録だったようだが、ご本人不在の中彼の音頭でお祝いをした。何度も言うが本人不在である。そういえば彼は本人不在の中お祝いされた事があった人だったな…懐かしいケーキの写真が思い浮かんだ。

「直人さんお誕生日おめでとうございまぁーす!」「おめでとーーーう!!!」うんうん頷き「今頃感じてると思います」なんて言う31歳ほんと今すぐ保護してほしい。そしてお祝いされた側は35歳。ほんと直己さんの言葉を借りるならデビュー以降若返り続けるベンジャミン・バトンである。年齢を知っていても嘘でしょ、と思わず声が漏れた。


さて、8月11日から変わらず不調期がなかったかのように伸びやかな彼の歌声だが、一曲だけ、これまでの5公演を通して安定していなかった曲があった。

ONE DAYである。

リリースされた時からあまりにも難しい譜面にこれソロ配信一曲目は攻めたな?!と驚いたものだ。難しいからこそ彼の楽曲で最も好きな曲でもある。だが、J-WAVE LIVEでも他楽曲に比べ苦戦していたこの楽曲は、4週間後には随分持ち直したものの最も高音のタイミングでは本人の声が上がりきっていないように聞こえていた。J'Nique(めっちゃウマと思ってたらAiちゃんのコーラスもやってた)のハイトーンに引き上げてもらっている、そんな印象をここまで払拭できずにいた。(高音以外も会場によっては半音下がったりブレたりしていたように聞こえていたわけだが)

今日のONE DAYは生で聞いてきたONE DAYで過去1だったように思う。少し震えた部分もあったような気がしたが僅かで、これまでの5公演のどれよりも伸びやかに透き通り、素晴らしいものだった。なんだかようやく肩の荷が降りたような気がする。

関係者席の彼にこのステージはどう映ったのだろう。君の相方はまた一つ階段を登ったよ。


昨日からまた少し変わった点は洋楽カバーの曲紹介で歌詞に言及したこと。

大人なセクシーさというか、シーツの中での愛の形とか、なんだかそんなことを言っていた気がする。最初に聴いたときなんて歌詞だと思ったな。直訳するとあまり情緒が無い気がするから不思議である。もう一曲に関しても懺悔の曲なんですけど、と掻い摘んで話してくれた。

ところで渋谷のTSUTAYAに連れてって洋楽を買い与えてくれた人は某オーデ後拾ってくれた人のことなのかな。ちょっとソワソワした。


そしてやはりいつも泣くところで泣いた。今日はなんだか特に声も気迫も素晴らしくて、胸が鷲掴みにされたかのようだった。本日もマフラータオルがなく、なんとか溢れないように必死だった。同行いただいた方に気遣われてしまった。申し訳ない。


「辛いこと悲しいこと、あります。」

ずっと思ってきたことだが、彼は「あります」と肯定する。誰しも「あると思います」と使う中、ネガティブな事だって生きていればあるよ、と言う。そりゃそうだ。常に楽しく幸せなことばかりではない。時は有限で、失くすものがある。変わっていくものがある。それを悲しいと思うことは当然ある。それをどう受け止め、自分の時を進めるかは自分次第だが、彼はそこに歌で寄り添えるシンガーになろうとしてくれる。幸せになって、と背中を押してくれる。

なら、幸せになんないとね。だから、貴方も幸せでいてください。そして願わくは、新潟までに彼女が少しでも前を向けたらいいなぁ、なんて、夜明け前からラストにかけて、隣にいようとなかろうと毎回そんなことを考える。彼女との話はまた機会があれば述べようかな。


後半は初日から大きな変化はないが、毎度のことなので今日も記録としてタンクトップチャレンジについて言及する。

6戦目→惨敗

今日は右手にテンションがかかりすぎたのか、首元から斜めに裂けたため、とりあえずなんとか腰まで下ろし、水を撒き、しゃがんで頭を振りながら少しずつ破こうとするも千切れず、最終的にステージに戻るタイミングで上から脱ぎ捨てていた。

戦績としては黒星だが、反らされた脇腹とか、腕を上げた時の背筋や肩甲骨周りが拝めたので私の戦績としては白星である。もうどれも正解だよ!


メドレーが始まってからも始終ニッコニコで、ノッているというか、ライブ楽しいんだろうなぁ、と思わせてくれる。CRで「昨日の方がすごかったかも」と煽るのはもはや2日目の常套句なのかな。身体を折り曲げながらステージから煽る彼はいつだって全力だ。全力で応えるしかない。

「昨日は家族が来ていて、今日はLDHのアーティストとか、メンバーが来てくれている」

俄かに騒つく会場にもまた、「三代目やっぱ盛り上がりますね、最高だな~」なんて。

彼を、彼らを特別だなんて。

さまざまな岐路が交差した上に今の彼らがあって、ここで歌う彼がいる。人生一度きりの中、出会うべくして出会ったのか、かの曲がリリースされて加速した彼らを思うたびにそんなことを思ったな、改めてまた思った。

来年また一つ力をつけた彼らが会した時、どんな爆発的なエネルギーが生まれるのだろう。

振り落とされないように私も力をつけないとだなぁ。確実に自分が後悔なく生きるための要素の一つになっている彼らを8年前の自分に教えてやりたい。

そして、関係者席に座る彼らと、後輩たちと、しっかり学んだ彼とそのアニキたち、そして先輩方、彼らの目に、このライブがどう映ったのだろうか。帰路につきながらそんなことを思った。

8月29日

7月16日ぶりの横浜アリーナ

待たせた友人と落ち合い歩道橋を歩く。

関東での公演初日。福井静岡に比べ1.5倍ほどの会場規模でツアー5公演目が始まろうとしていた。


普段通りの生活をした流れだったからだろうか、これまでの二箇所に比べ余裕の開演待ちだった。

VIPエリアはスクリーンカーテンの向こうに少し明かりが見える。後のMCで彼の御家族や御友人方が来ていることを知った。


いつも通りのオープニング、1曲めの入りから安定した声に「前二箇所よりも調子が良いのでは?」と友人と色めき立つ。

遠征ではないからだろうか、これまで以上に穏やかに伸びやかにそして楽しそうに見えた。

そしてあれだけハラハラさせたチェーンがまたついていたけど今回は絡まず。よかった。


ハプニングなく進んだが、兎にも角にも変更が多い公演だったので、普段2日通して書いていたが今日はその日のうちに書き上げようと思う。

 

暗転のタイミングが増えた。コーラスのMCも増えた。ベースソロが増えた。

と、コレ以外にも書き連ねることができるレベルで変わったが、最初の衝撃はLOVE THIEFの!ダンス追加!!!!(大声)

奇しくも本日はKING of POPのBDであるが、そこかしこにMJっぽさがあったのは気のせい??今日だけ???音もサンプリングしてないか???明日きっと答えがわかるのだろうか。楽しみで仕方ない。

ピンスポと音に合わせてポーズを決め、ターンをし、ムーンウォークする推しが観れるのはL>Dだけである。最高!


次に衝撃だったのは衣装替えのタイミングが変わったことだ。冒頭衣装の右腋が見えるのがあまりにも好きだったのだが、タイミングが変わったことにより腋が拝めなくなってしまった。なんたる!あの腋見てる人多いよね??

さらにここが変わったことにより一曲変更であった。あのえっちなアレンジはどこに!?後になって「あれ、あの曲無くない…?」となってからの悲しさがつらい。じわじわつらい。前述からの落差が激しい。


あとはバラード1曲1曲の曲間に曲紹介が挟まれた。全てをピアノに腰掛けて話すよりこちらの方がまとまりが良いように感じたが、カットされた曲が尾を引く…盛り上がりには欠けるかもしれないが日本人は横ノリの慣習が少ないだけでみんな好きだったと思うよあれ…のりきれないように見えたかもしれないけど…


ちなみに今日も例の曲は泣いた。横アリでアレは泣く。マフラータオルを忘れたので目の下は真っ黒である。


ピアノでのMCではアルバム発売日を8/11と言ったり(それはツアー初日)、横アリ広いっすね~(何回も言う)、壁があるように思う(距離があると言いたいのか?)なんて言ったと思えば、距離があっても心が繋がってますもんね、なんて言う。かわいい。あの31歳国家規模で保護して。


後半は大きな変更なく進んだのでタンクトップチャレンジに言及するが、5戦目の横浜day1の戦果については変わらずであったことをここに述べる。惜敗である。あとちょっと、あとちょっとであるが、今日なんだか手をかけるタイミングがいつもより遅かった気がする。

シレッと後ろ向いて破っていたが、あのターンを見るための双眼鏡をなめないでほしい。みてるよ(誰)

明日はおそらく今日より関係者が多そうだから成功するといいね…。もはやここまで来ると福井初日はあまりの衝撃に幻を見ていたのでは?とさえ思えて来る。いや、破けてたよね?見間違い???


メドレーもいつも通りだったがBRIGHTが追加された。アレが無くなってコレが追加…折に触れ「三代目盛り上がりますね、すごいっすね」と言っていたがこうなったかーーー!!!ソロだしアレでよかったじゃん!!と思ったりした。BRIGHT好きだけど…

ちなみにライブがなかった週末に円盤を再生していたからか最初追加に気付かず、思い返してみて「あれ?」となった。


銀テ出るタイミングも変わっていたな。幸せでありますように!彼は折に触れてそう言うが、貴方が幸せに歌っていてくれることが幸せのピースになるなぁってやはり毎回変わらず思う。


メドレー最後を残して所用のため中抜けをさせてもらったので、今日はここまで。


残機が少なくなってきたわけだが、どうやらツアー以外でも年末までにあっちへ行きこっちへ行きしそうで、スケジュール上ではもう2018年の終わりが見えている。悔いなく楽しく自分らしく生きようとしているので、なんとか駆け抜けたい。

8月18日

朝から家人に「えらい早いな」と後ろ指指されつつ家を出る。2つ目の地点でまたあの心地よい空間を味わうために。


3回目のエコパアリーナ、道中も慣れたものである。いつものようにホテルに荷物を預け、Tシャツを着て会場に向かう。袖をcutoffしたのでめちゃくちゃ快適である。次は襟も開けよう。

福井に比べ涼しさを感じる気候の中、最寄駅から相乗りをナンパして会場へ向かった。

戦まえの腹ごしらえでもないが、今回のライブ前飯は焼きおにぎりとから揚げfromエコパ内のホットミール自販機であった。

ちなみに福井は初日がタマゴサンド、二日目はコンビニ焼鳥串である。夏場に甘いものを食べる元気はないが、糖質とタンパク質とミネラルは取っておきたい。

食べれる余裕が出てきている。1週間前に比べ、比較的穏やかな気持ちだった。開演を待つ間のBGMが福井とは違うね、そんな話をしながら友人と待つ。でもこれが終わればツアー残機が20を切ってしまう…自分の残機はもっと少ないけど…あっという間に終わってしまうのではないだろうか、と初日前にも思っていた不安が胸をよぎった。

客電が落ち、照明と音楽が消える。オープニングが始まるその時、ステージ上段の壁が左右に分かれた。福井とは異なるタイミングで開いた壁に、この後の演出は?!と騒つく我々を置いて、何度見ても神々しい世界観が展開されて行く。だが、空白の絵画?扉?を開けるタイミングでやはり開いてほしいなと再認識しただけだったので、会場都合か?などと思ったりした。

日曜は通常通りのタイミングに戻っていたので、まぁ何かあったのだろう。


何度見てもオープニング映像から会場への展観はゾクゾクする。Catch my Lightのイントロも華やかで、アルバムリードとしても、そのアルバムを提げてのツアーオープニングにもこれ以上ないほどの相応しさだと思う。

ほとんど変更なく進むステージだったが、変わったかな?と思う演出は、Rap前に一瞬の暗転の中一筋だけ照らされた照明のステージ演出だろうか。最早福井があっという間すぎて記憶が定かではないが。

MCもご機嫌で、今日は歌い出しからいつもの笑顔を振りまいていた。あまりにもかわいい。

日曜はTHROWBACK冒頭でビーチチェアに左腰のチェーンが絡まり取れないハプニングに見舞われていたので、後のMCで「あれは焦ったな~、気付いた人いました?」と言っていたが、あれだけ盛大にチェアを斜めにさせておいてナディにとってもらってたの、気付いていない人はいないと思うよ、とこんなところで述べておく。

「あのままバラード歌うのかと思った笑」

どうぞやってくれと言わんばかりのツッコミ待ちというやつやな。突っ込んでくれるであろう人は赤坂とロンドン?

あと、サンビーチは後に友人が調べたら熱海の海水浴場である。「なんて言うんだっけ?サンビーチ?違うな、椅子。」雑か笑


そう、日曜のこのMC、18日土曜は違う内容だった。長野で初日を迎えた相方の話題を語ったのだ。

「今日は話すネタが多くて、相方の臣が長野でツアー初日を迎えて。今頃ちょうど向こうもMCなんじゃないかな~。臣に初日おめでとう、たのしんでねってLINE送ったんですけど、同じ時間に違う場所でこうやってソロでライブするなんて昔じゃ考えられなかったね、って話をして。いや、感慨深いなって」

なんて、そのような事を話していた。そんな長野では彼も彼で始まりの曲を披露したらしく、彼らを形成する最初の最初を堪能できる初ツアーというのは、いろんな事を思い出しながらどうしたって感情的にならざるを得ないなと思った。

ちなみにもう一つは帯同しているTAiCHi君は凱旋公演というお話。アンコール後はマイクを口元まで差し出してTAiCHi君の声を届けてくれていた。

 

洋楽バラードから彼の始まりの曲を経て(やはり静岡でも両日泣いた)、夜明け前へ。

夜明け前は、歌詞を理解してから聴くとどうにも涙腺に来るなぁ。辛さはとなりにあるかもしれないけど、君ならきっと乗り越えられるよ。彼自身励まされたこの曲は、きっと多くの人の支えになるのだろう。

 


後半はあっという間だ。

Alter Egoはどうノればいいのかだんだんわからなくなってきている。サバトの教祖に入信すればいいのか?

などと余計な事を考える余裕が出てきている。Out~はヒヤヒヤすることはもうない。

が、ハラハラは問題のタンクトップである。

過去の戦績として、

初回→成功

2回目→破りきれず足から抜いた

からのここ静岡、結果は

3回目→破りきれず腰にだらり。メインステに戻る花道上で引きちぎる

4回目→破りきれず腰にだらり。しゃがみこんでヘドバンした後立ち上がるタイミングで引きちぎる(花道先端に残されるタンクトップがどうにも切ない)

であった。初回の成功はなんだったのか。

そしてついにヘドバンが抑えられなかった。たぶん前にスペースなどがあれば重心低くしてガシガシに振れる。やらないけど。


体感として、福井より早く感じるのは彼が慣れたからか、我々が慣れたからか。心なしかMCが短いような気もする。静岡2日目に至っては終了したのが17時15分ごろだ。余裕で帰れます。ありがとう明日から仕事頑張ります。


ヒットソングメドレーからMCを挟みラストへと進むわけだが、「次でラストになります」に対し上がる声に、「そういう段取りなんで」「ま、終わるんですけど」と返した福井と違い、静岡初日はなにもなかった。2日目は「毎回やるの、俺もやだよ。」CRに余裕が出てきたのかなぁ。割と喋るようになった気がする。

ラスト前に「愛を込めて歌います」と言ってくれたのが良かった。静岡から言い始めたかな。福井では言ってなかったように思う。


アンコールが揃うのはいつかなぁ、福井2日目の隆二コール、割と揃ってた気がするなぁ、なんて思ったりしつつ。2日目のInterludeはDavidのコーラス付きになってた。あれ、1日目あった?なんだかアドリブっぽい気もする。

ドラムで煽るところでは、1日目は項垂れ、2日目はドラムに突っ伏していた。あまりにもかわいい。総じてかわいいわけだが。

投げたスティックを端に寄せるビビに声を掛けていたのも印象的だ。クルーの雰囲気も良いのが伝わってくる。

楽しそうに歌い踊る様も目に焼き付ける。後何回、この場に足を運べるのだろう。温かな雰囲気に満ち溢れているように感じるのは、彼の持つ人柄からなのだろう。居心地良い空間に永遠に浸っていたいが、ツアー残機はついに18。私の残機も残り少なくなってきた。

 

「幸せになってください」と彼は言う。貴方が幸せでいてくれるなら、その笑顔と歌声が枯れることがないのであれば、1つでも悲しさから流す涙が減るのであれば、美味しいもの食べて生きてくれれば、それは私の幸せを形成するいくつかのピースになるなぁ、真面目にそんな事を思った。

永遠に続くもの、不変なものは無いと思う。

「いつまでやってられるかなんて、わからない」

今日赤坂で千秋楽を迎えた彼が言うようにその通りなのだろう。だから今しかないものを感じるために、今を生きるために足を運ぶのだ。もう二度と後から知った事実に打ちのめされることがないよう、心構えをして、後悔しないように。

経験上、どれだけ心構えをして現場にいたとしても歓声の中立ち尽くしてしまうこともあるから、とても難しいことだと理解しているけれど。

 


さて、旅の起点でアクシデントに見舞われたと書いたが、今回は同じアクシデントは無かった。

代わりにまぁあり得る話ではあるが、バンメンと帰路が同じであった事はここに記録として記しておく。あれはたぶんTAiCHi君だと思うけど、逆方向に向かっていたので実家に帰るのかな。

ちなみに福井からの帰路はマサさんと一緒だった。地方だとこういうことがあるんだなぁ。

8月11日

余裕を持って出ようと思っていたのに結局バタバタと出発してしまうのは最早伝統芸のように昔から変わりがなく成長しない点である。

2018年8月11日午後12時前、私のツアーはそういった反省から、初日開幕の6時間半前に始まった。


ソロツアーの告知は、色々なことを総合して考えた末僅かな期待を持って察していた中発せられ、恐らく全く予期していなかった方達が受けたような衝撃は無かったように思う。だからだろうか、当日になっても、新幹線に乗っても、乗り換えをして福井県入りをした後も、どこか冷静な自分がいた。

それどころか、今自分が福井に、彼のライブ初日のために居ることをどこか他人事のように思っていた。

今回初遠征にも関わらず最初から最後までほぼ共に回る友人と他愛も無い話をしながら、お互いどこか冷静に(今思うと冷静であろうとしていたのかもしれないが)、静かに、だが確実に、彼の最初で最後のソロツアー初日が刻一刻と迫って居ることを感じていた。そして同時に始まれば、終わりが否が応でも来るということもわかっていた。


鯖江で降りて行くお嬢さんたちを見送り福井で降りる。ホテルに荷物を預け、可能な限り身軽にライブに参戦したい私はボディバッグに財布とチケット、携帯、むき出しにして嵩を減らしたコスメ類を詰め込み、過去に何度か持った物とは形状の異なるペンラを差し込み、マフラータオルを持って鯖江に向かった。

余談だが、福井、そして鯖江ICカードによる自動改札に対応していない。米原経由でEXIC乗り換えをした私に告げられたICカード入場記録の取り消しと現金精算に愕然としつつ、あとひと月IC対応が早ければ、などと思ったりした。

そして電車のドアはボタン開閉式だ。

都会から出たことのない友人は存在を知ることすら初めてだったようだが、かく言う自分も出張で地方に行くことがなければ知らなかっただろう。

逸話休題


鯖江駅からサンドーム福井まで西日の差す中信号のない道を歩く。

途中何度か、黒のワゴン車が運転席の窓を開け、彼らの曲を再生しながら走行している姿に出くわした。ベルファイアだったかは記憶が定かではない。

近づくにつれ見えたサンドーム福井は、これまで足を運んだどのアリーナよりも異質に見えた。

規則的に並んだ鱗のような隆起に覆われ、頂点にはガラスかアクリルか、陽を受け輝くピラミッドがあった。ここが彼の一人旅の始まりの地なのだと思うと、とても神聖な場所のように見えた。

入場列に並び中に入る。一気に胃が重たくなった。その時ようやく、緊張していることを自覚したように今になって思う。

思えば開演を待つ間、至る所で場内を撮影している人達が目に付いたのは落ち着かないままキョロキョロとしてしまったからだろう。スタッフの皆さんも何度も声を上げていたが、場内の撮影は禁止である。個人で楽しむ云々の前に、手荷物検査で「カメラお持ちではないですか?」と尋ねられ「持ってないです」と答えたのであれば、スマホカメラは起動すべきではない。それは歴とした撮影機材である。


ペンラを確認し、ステージに目をやる。

突端に円形のステージを誂えた花道の上には、同じく円形の照明が組み上げられていた。まるで天使の輪ではないか、何の疑問も持たずそう思った。

青く照らされたステージは純白だ。つまり照明で何色にでも染まる。照明が落ちれば暗く、そしてLightが強まるとより一層その白が際立つことが予想された。鳥肌がジワリと肘あたりから広がり始める。

ステージの上段背面には正方形が幾重にも重ねられた幾何学模様の壁があった。スクリーンは両サイドに設置されている。

至ってシンプルなステージに見えた。

だが、ドームにそびえ立つ可動式のLEDパネルを携えたセットと違い、これくらいシンプルなステージの方が彼の目指すSHOWに相応しいことも同時に理解した。

ジワリと白く点灯されたペンライトの数が増えて行く。青い照明が照らすホールの中に銀河が拡がっていくようだった。


ところで開演までの間のBGMにおいて、2、3曲に1曲はMichael Jacksonがセレクトされ、嫌が応にも身体が反応した。SLASHのギターが心地よい。彼の洋楽の入り口がBrian McKnightなのだとしたら、物心ついた時にはすでに自宅にあった父所持のthrillerのVHSを観ていた私の入り口は間違いなくMJだ。

Smooth Criminalから一曲挟んだ頃だったろうか、BGMと照明が落とされ、暗闇にペンライトの青味がかった白色が無数に浮かぶ。所々赤が見えるのは、図らずも接触不良品だろう。そんな中、ステージ上段背景の壁に映像が投影される。

白い翼をはためかせ、一羽の猛禽類が翔ぶ。白亜の中東様な城に向かって。INTRO ~LIGHT>DARKNESS~をバックにこれまで発表された楽曲達の印象的なワンシーンが白い壁に華美な額で彩られる。ひらりひらりと羽根が舞い、いつしか跳ね舞うダンサーの姿が一人一人浮かび上がる。階段を白のスニーカーが降りていく。足元から舐め上げるようなカメラワークの末に彼の全貌が現れると、それまでの映像で高められた会場のボルテージは最高潮に達していた。


あまりにも神々しい幕開けだ。


ステージ上には左右からバンド、コーラス、そしてダンサー達が持ち場につき、Catch my Lightのイントロが聞こえてくる。アルバムの世界観がここに顕現しようとしている。腰椎から首筋にかけて震えが走った。あの一本筋の通ったアルバムの世界観が、この場で初めてお披露目される。その瞬間に立ち会うために、私は福井まで足を運んだのだと実感したその時、ステージ上部の壁がモーゼの如く左右に割れ、その向こうから彼が現れた。涙が止まらなかった。

鍛え上げられた体を覆う白のタンクトップの上を右身頃がないジャケットが半身を柔らかに包み、シルバーが織り込まれたかのように鈍色に光るガンホルダーのようなベストが肩甲骨から肩、胸筋のなだらかなラインを強調する。ジャケットは右腰と背面の腰位置で紐が結ばれ、ベストとの隙間が細い腰を際立たせていた。

ステージと同じく白を基調とした衣装は文字通り彼の為に誂えられた物で、彼以上に似合う人はこの世にはいないように思えた。

拍子に合わせ揺れ踊り、そして少し掠れたような声が響く。表情が如実に緊張を伝えて来るようだった。あぁ、彼はこういう時誰よりもナイーブになる人だったな、改めてそう感じた。

アルバムに倣い進む中、マイクを預け、男性ダンサーと共に踊る場面がある。私は未だ嘗て、あれほど踊る彼を見たことがなかった。ポテンシャルは勿論あるが、この日までどれほどの時間を割いたのだろう、また涙が溢れた。

少し笑顔が見えたのはAngelだったか。一年程前から我々が親しんだ楽曲は、彼も同じだったのだろう。音程も振りも安定して余裕があるように見えた。

マイクスタンドを用いる演出において、両腕を頭上でクロスさせる振りを入れた方に目録を差し上げたい。右腕の前鋸筋から上腕二頭筋、三頭筋が美しく配置されていた。ゆっくりと腋が拝める機会は貴重である。


衣装チェンジを挟んだ後、シルエットが透ける白いシャツのみを羽織り戻った彼は少しアンニュイな雰囲気を纏っていた。

アレンジが加えられたCan't Take My Eyes Off Youと、ONE DAYに華を添えるコーラス陣のスキルに脱帽しつつ、少し上がり切らなかったがJ-WAVEよりも確実に伸びた声に友人と目を見合わせた。高音の安定感が増せば、SHININGも今後期待できるだろうか。


花道の先端に椅子と楽器が配置される。少し近くで見えた彼はまだ、少し硬い表情だったように思えた。

光の輪が降り注ぐ中、Cracks of My Broken HeartとBetween the Sheetsをしっとりと歌い上げる。伏し目がちな目が閉じられ、眉間に皺を寄せながら紡がれた歌詞はどんな解釈で音に載せられたのだろう。ゆったりと心地よいサウンドに身体を預ける。目を閉じて彼の声を聴く至福の時間だった。


曲が終わり、バンドとコーラスが捌ける。照明が変わる。

丸いステージに一人で立つ彼に当てられる白のピンスポット。会場全体はターコイズブルーの海のように染められていた。そして聞こえたイントロに堪えきれず口を抑えた。原点とも言えるこの名曲があったからこそ、彼は唯一無二の相方と最高で最強な彼らに出会い、この場にいる。感情が抑えきれなかった。

一人で歌い、ご本人と相方と飛天の間で歌い、今再びこの曲をどんな思いで歌うのか、どんな違いを感じたか、各プレスの皆さんは機会があれば是非聞いてみてほしい。


歌い終えた後、暫し中空を見上げる姿が印象的だった。その後一人背を向け花道を歩いた先に待つのはピアノだ。

腰掛け軽く鍵盤を鳴らす。観客が固唾を飲んで静かに見守る。今思えば、他の現場だと静かな間こそ観客の声が聞こえたりするものだがそれがなかった。皆が皆、彼の初日を目に焼き付けていたのだろうか。だがあまりにも静かだったからか、鍵盤に指を滑らせながら「皆さん、楽しんでますか?」とはにかみつつ聞くあたりが彼らしい。存分に、十分に、楽しんでますよ。歓声とライトの光が応える。

先程の二曲と、始まりの歌について話し、そして、「今からやる曲は、アルバムにも入ってない新曲なんですけど、当たり前か」一人完結させるところも相変わらずだなと思うが、新曲というワードに会場が騒つく中、すでに12日終演後公開された「夜明け前」が弾き語られた。

一部すでにSNSで公開されているのでここでいうまでも無いが、ジワリと染み入るようななんとも優しい音色と歌詞だった。

人生は当然ながら山も谷もある。だがその人生の中で谷がきた時、人生と人生が交差して出会った傍にいる誰かが手を差し伸べたり支えたりして、人生は永く続くのだろうと思う。自分もそうして誰かに手を差し伸べられているだろうか、ふとそんな事を思った。


暗転し、また映像がスクリーンに映る。察しの良い観客はペンライトを赤に変え始め、会場が瞬く間に紅く染まる。白に墨が染みるように先程まで白かった鷹の羽が黒く染まる。よく見ると鷹は数を変え7羽になっていた。白亜の城が黒く色を変え、彼の姿もまた変わっていた。裾の長いローブのフードから覗く瞳が色を変え、黒と赤の対比が残像として網膜に焼き付けられる。スクリーンでは凄惨さを感じさせるように口角が持ち上がり、ステージでは黒く蠢く7つの影が松明に照らされる。始まるのはAlter Egoだ。


一言で表すとすればまるでサバトだ。

先程までの軽やかな白の衣装とは異なり、重たく陰鬱とした雰囲気すら感じさせる黒のローブはゴシックな赤の刺繍で彩られ、胸元には太いゴールドのチェーンと上半身の半分はあろうかというほど大きなロザリオが松明の灯りを受け輝いていた。

マイクを持たず深く被られたフードの下、インカムで歌う。また彼の新しい姿を目に焼き付ける。スクリーンに抜かれたローアングルからの画が印象的だった。

曲が終わりローブを脱ぐ。2日目はネックレスを左のVivianが、ローブを右のNadiaが恭しく受け取り、Vivianがキャップを両手で差し出す様が儀式のようだった。

ローブの下、グリーンの光を反射する光沢のあるジャケットとパンツを纏い、続け様にOut of the Darknessを歌い踊る。インカムで歌いながら踊る姿もまた、今回のツアーで期待していた姿だった。アッパーな楽曲だが、初見は驚きとハラハラでほぼ記憶がない。

だがこの後の方が記憶容量を上回る情報過多で死ぬことをまだこの時は知る由もなかった。


低音が響く中聞こえる息遣いにこちらの息もし辛くなるような感覚に陥る。脱ぎ捨てられるジャケットの下、黒のタンクトップがぴたりと覆う身体を惜しげもなく晒し花道を歩く。

先端に到達したタイミングのPlease don’t kill my vibe!!と声を上げながら破り捨てられたタンクトップ同様、このタイミングでどれだけの人間の脳が爆散させられたろうか。これまでの一連の流れから一線を画すような荒々しさがうねりを伴って会場を覆っていく。縦ノリと言っていたがそんな甘いものではない、もはやヘドバンどころか折りたたみだ。折りたたむと彼が見えないのでやらなかったが。

重心を低くとった体勢で振られる頭部が余りに小さい。撒き散らされる水になって蒸発したい。思い返しても気が狂いそうになるほどの衝撃ゆえ、形容のために浮かぶ言葉も気が狂っていることは容赦願いたい。

2日目は引きちぎりきれなかったタンクトップがじわじわ落ちていき、振りの途中足元から脱ぎ捨てられていたことも記録として残しておく。

以降の記事ではタンクトップの行く末だけでも記録を残そうか。

幕切れも印象的だ。わかっていても悲鳴が上がる事は致し方ない。


曲間を感じる間も無く、ダンサー陣の紹介が始まる。個人的に今回のダンサー陣はあまりにもアツい。クリスマスイブまで楽しみである。

パフォーマンスによってあたためられた会場のボルテージは、ゴールドと黒を基調としたジャケットを纏った彼による畳み掛けるようなヒットソングメドレーによってさらに高められて行く。

会場全体が当然のように踊り、声を上げる。

彼の表情も明るく楽しそうで、ここでようやく我々の緊張も解けたような気がした。

「やっぱ三代目はすごいっすね」にこやかに彼が言う。彼のファンなので彼が居てこそと思うわけだが、彼が最強だと言う彼らのパワーを感じずにはいられない。2組のご夫婦に挟まれて居た我々だが、いずれの旦那さんも共に踊って居た。視界の隅でヒョウ柄の座布団を敷いた椅子に座ったご高齢の女性が手を振っている。老若男女問わず虜にする魅力が溢れるステージだった。


終わりが近づいていることもわかっていたが、まだまだこの余韻に浸っていたい。嘆く会場に「そういう段取りなんで」と一刀両断する辺りは一人だからだろう。普段だともう少しやんわりとメンバーが…と思い返して最近そんなMCもなかったなと思い至る。

嘆きを笑顔にした後、最後に披露された楽曲もまた今の彼を形成する欠片の一つだった。せっかく笑顔にしてくれたのにまた泣いてしまうなぁ、汗を拭ったタオルで目頭を押さえた。


「ありがとうございました」「また会いましょう」と捌ける。J-WAVEではすぐ「また会えましたね」とアンコールに応えていたなぁ、と思い返しながら、手拍子と自然と起こったウェーブに混ざる。アリーナサイズのウェーブは起こってから自分のところに来るまでが早い。

視界の端ではセットの階段が左右に分かれ、準備が進んでいる。

唐突にスクリーンに映像が映し出される。Interlude ~RILY~が奏でられ、Petの音が響く。今回ホーンセクションは帯同していなかったが、さすがの誠ちゃんである。GLAY担の皆様にはまだしばらくお返しできないことをここで詫びておく。

RILYのIGで更新されてきたモノクロの西海岸様の風景写真の合間にアパレルの作品を身に纏った彼が混じる。ステージはさながらランウェイだ。

「GO Ryuji! GO Ryuji! GO! GO! GO Ryuji!」とコーラスに合わせドラムを奏でる。こんなもんなの?とでも言うように首を傾げながら煽ってくる。永遠にできるからもう暫く遊ばせてくれ。

ドラムスティックを放ってから聞こえるsaxの音色に自然と体が動く。アンコールというより、ここからまたライブが始まるかのような盛り上がりだった。だが無情にも時間は止まってくれることはなく、最後の曲が始まる。

彼はこの曲を自分の真ん中にいつもある曲として、歌い続けていきたいと言う。願わくは彼の子孫がこの曲を歌い継ぎ、100年続く曲になって欲しいと思う。素直な日本語で綴られた歌詞はいつの時代もシンガーの根幹に響くものだろうから。

曲が終わる。明るい照明に照らされた柔らかな白のステージの上、客席を見渡して一息ついた彼の緊張を改めて伺い知った。


ツアー初日と二日目を終え、改めて彼が歌っていてくれてよかったと思った。

彼がいなければ、私はVBA2も見ずに三代目の現場に足を運ぶことはなかっただろう。

ここまで長ったらしく書いておいてなんだが、筆者は二代目がこの界隈への入り口である。三代目には嫉妬と呼べる類の感情を抱いたこともある。正直に言うがデビュー間もない頃帯同した全体ツアーの京セラで「こんなもんなのか」と思ったこともある。

だが彼だけは、彼の声の伸びやかさは8年目を迎えても不調期は確かにあれど変わらず、今もこうして歌ってくれている。ここから彼の旅路が始まる。その出発地点に立ち会えたことに感謝し、この先に続くマイルストーンの所々で出会えることも楽しみである。そして願わくはこの旅が終わっても、存分に休息したのちで構わないから、また旅を続けて欲しいと願わずにいられない。


思い立って書き始めたはいいものの、随分と時間がかかってしまった。

我々の旅も始まったわけだが、始まりからそれなりのアクシデントに遭遇しているのでなんとか年末まで生きたいと思う。